―幻想―

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すべては幻。想い思う、夢の世界。それが幻想。 少年は、この世界を知ってはいけなかった。これが普通で、現実であるなどと感じてはならなかった。無知でいなければならなかった。 すべては、幻なのだから。 幻の中で、少年は様々なことを知ってしまった。 友情。愛情。正義。幸福。常識。思想。 想い、思う。そこは、夢の世界。 幻想を抱いた少年は、殺人鬼。記憶をなくした悪魔。無知を知らず、それが普通だと想い込んでいた。哀れで、滑稽で、醜悪。 それが、現実。 全てを思い出した時、少年は―― これは、物語。 記憶を失った殺人鬼の物語。 すべては、幻想である物語――
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