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~5年前~
「亜美ちゃん!うちらの間に隠し事はなしだよぉ~?」
「うん!もちろんだよ裕子ちゃん!嘘もなしだからね!!」
「「うん!ずぅ~っと一緒だよ!!」」
―現在―
私,高橋裕子<たかはしひろこ>は恋する乙女の15歳。好きな人は同じクラスの長瀬拓也<ながせたくや>。私は初めて同じクラスになって,嬉しくて親友の岩崎亜美<いわさきあみ>にのろけ話をしていた。
「でねぇ~たくちゃんと隣の席になれて超嬉しいよぉ♪」
「そっかぁ~よかったじゃん!」
こんな他愛もない会話がいつまでも続くと思っていた。この後の亜美の言葉を聞くまでは。
「うん!たくちゃんとい~っぱいラブ②するんだぁ♪」
「う…ん…あのね?裕子…真面目に聞いて…ね?」
「うん?どしたのぉ?」
今までの笑顔とは裏腹に真面目な顔つきになって,ゆっくりと話し始めた。
「実は…好きな人が……いるの…」
「え…?」
へらへらした笑みを止めて,亜美の話に聞き入る。
「ふぅーん。今まで散々人のことからかっておいて,ほんとは好きな人いたなんてねぇ?で?その相手は?」
「あ…あの……たく…や…君…なの…」
「……そう…たくちゃんなわけね?確かに彼とは私より亜美の方が仲がいいし?2人で告ったら彼は亜美を選ぶだろうねぇ?でも…絶対諦めない!例え亜美が相手でも,どんな手を使ってでもね!!」
亜美に隠し事されたことに対して激怒した。目は血走っており,机に拳を叩きつけて怒りを露わにした。手にはうっすら血が滲んでいた。
「っ!?…裕子?…落ち着いて?…みんな…驚いてるよ?」
はっと我に返った私は学校だということを忘れていた。そして,驚いているクラスメイトに嘘の笑みを向けた。
「やっだなぁ♪みんな何て顔してるの?私の演技力どうだったぁ?」
なんて言うとみんなは安堵の笑みを浮かべ,またざわざわと会話が聞こえだした。私は顔を亜美の耳元に近づけ,そっと囁いた。
「さっきのことは忘れないで。でも隠し事してたことは許してあげる。だけどもう…嘘ついちゃ,いやだよ?」
「…っ…う…うん!もう隠し事はしないよ!」
「よかったぁ♪亜美大好きぃ~」
いつものように笑って亜美に抱きついた。そう,いつものように。
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