No.007

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その日から、逸樹は毎日夕飯を用意するようになった。 心春は2人の距離が、どんどん開いていくように思えた。 「いっくん、だんだん料理上手くなってる!肉じゃが美味しい!」 「本当に?明日は、この肉じゃががコロッケになる予定。少し多めに作ったんだ。」 「コロッケ!」 「楽しみにしてて。」 「うん!」 いっくんは、毎日料理するのが楽しいみたい。 どんどん、1人で先へ進んでる。 私は、なかなか前に進めないのに…。 「心春ちゃん?」 「えっ?」 「どうかした?箸止まってる。」 「何でもないよ?ちょっと考え事しちゃって。」 「そう?明日もバイトでしょ?ご飯食べて、先にお風呂行っておいでよ。」 「うん、そうするね。」 こうやって、2人でご飯を食べていると、心春ちゃんが時々手を止めることが多くなった。 俺が悩ませてるのかと思うと、胸が締め付けられた。 「じゃあ、いっくん。私先に休むね?」 「うん、おやすみ。」 「おやすみ。」 心春ちゃんに、毎日先に寝てもらう。 少しでも心春ちゃんとの時間をずらしたかった。 自分の感じる苦しさから、俺はただ逃れたかったんだ…。
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