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ある日の心春の休日。
その日は、朝から逸樹の姿はなく、友だちと出掛けると置き手紙と、朝食の準備がされていた。
「いっくん出掛けちゃったんだ。」
そう独り言を呟き、身支度を済ませて、逸樹の用意した朝食を食べ始める。
「…このだし巻き卵美味しい…。」
1人で、どんどん何でもこなせるようになった彼…。
料理だって、元々上手なのに、記憶を無くす前より腕をあげてる。
彼の存在が、遠くなっていく…。
朝食を食べ終わり、食器も片付け終わり、部屋は逸樹が毎日の様に掃除しており、洗濯もしてあるので、心春は暇を持て余していた。
「…する事ない。出掛ける予定もないしなあ…。」
1人で出掛ける気力なんかなかった。
かと言って、この部屋にいてもする事がないし、話し相手もいない。
部屋中、静まり返っている。
「…こんなに、この部屋って静かだった?」
言葉を発しても、それは空気中に消えてなくなるだけ。
このまま、自分も消えてしまえれば、どんなに楽になるんだろう…。
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