No.007

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夕方。 逸樹が帰宅すると、リビングから音楽が聞こえる。 「ただいまー。心春ちゃん?」 いつもなら、玄関で出迎える心春が来ず、逸樹は不思議に思いながら、リビングへ向かった。 「心春ちゃん?」 リビングでは、音楽を流したままアルバムを開き、眠っている心春の姿があった。 「心春ちゃん、こんなとこで風邪…ひく…よ…。」 心春の顔を見ると、2人で写っている写真や桜の木があるページを開いたまま、頬に涙の跡を残して眠る心春がいる。 逸樹は、また胸が締め付けられるような感覚に襲われた。 「心春ちゃん…ごめん。」 そう言って、近くにあった膝掛けを、心春に掛けてやり、夕飯の支度を始める。 やっぱり、俺は心春ちゃんを苦しめている。 別れが、心春ちゃんにとっても、俺にとっても最善の策かなんて判らない。 でも、2人でいても苦しいだけなら、負担になっていってしまうくらいなら、別れて新しい道を歩むしかない。 俺には、心春ちゃんを幸せにする方法が判らないんだ…。
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