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数週間後。
とうとう、いっくんがこの部屋から出て行く事になった。
仕事もなんとか、前みたいに出来るようになって、新しい部屋も見つかったから…。
「いよいよ、明日だね…。」
「うん。」
「心春ちゃん、今までありがとう。」
「ううん。いっくんと一緒に過ごせて、楽しかったよ。」
「うん。俺も、心春ちゃんと過ごせて楽しかった。」
今日が、心春ちゃんと2人で食べる、最後の晩餐(ばんさん)になった。
正直、寂しくないと言えば嘘になる。
でも、これ以上一緒にいても、お互いに苦しいだけだ。
「いっくん、明日は仕事休みでしょ?私も休み取ったから、今日は飲まない?お酒、いっぱい買っちゃったの。」
「…うん、飲もうか。」
シラフで、最後の夕食を彼とするのは辛かった。
とてもじゃないけど、私には耐えられない。
「心春ちゃん、結構酒強いんだね?」
「いっくんが強いから、一緒にこうやって飲んでる内にね…ウチは、お父さんもお母さんも強いから、遺伝もあるかも。」
「そうなんだ?」
こんな、他愛もない会話が楽しかった。
でも、彼女とこんな風に2人きりで飲むのは、今日が本当に最後なんだ…。
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