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季節は春。
桜の木が沢山ある公園のベンチに、男女がウェディング雑誌を読みながら、楽しそうにしている。
「いっくん、これはどう?」
「ああ、いいね。ココちゃんに似合いそう!」
「そう?でも、これも可愛いなあ…。」
「ココちゃんの好きな物選びなよ?結婚式は、女の子にとって、大事な物だからね。」
いっくんと呼ばれた男が、ニコニコとしながら話した。
「うん!いっくんは、本当に優しいね!」
「そんな事ないよ?結婚式はココちゃんが主役なんだから。」
2人からは、幸せな空気が漂う。
彼女は、雑誌をパラパラと捲り、楽しそうにしている。
彼氏の方は、そんな彼女を見ながら、公園で遊ぶ子どもたちを見る。
「ねえ…ココちゃん。」
「なあに?」
「子ども…早く欲しいね。」
「そうだねー…いっくん子どもとか動物とか好きだもんね!犬か猫も飼おうよ!」
「いいねえ…なんなら、どっちも飼おう!」
「そうだね!子どもと同じ年の犬と猫飼うってどう?」
「あっ…それ名案!」
「早く、家族になりたいね。」
「うん。幸せな家族作ろう…。」
こんな会話を、いつまでも出来るんだと思ってた。
ちょっと天然で、ボケボケしてるけど、マイペースな私には、そんないっくんとの空間は心地よかった。
なのに、神様は残酷だと思う。
人間を、そう簡単には幸せにしてくれないんだから…。
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