No.001

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季節は春。 桜の木が沢山ある公園のベンチに、男女がウェディング雑誌を読みながら、楽しそうにしている。 「いっくん、これはどう?」 「ああ、いいね。ココちゃんに似合いそう!」 「そう?でも、これも可愛いなあ…。」 「ココちゃんの好きな物選びなよ?結婚式は、女の子にとって、大事な物だからね。」 いっくんと呼ばれた男が、ニコニコとしながら話した。 「うん!いっくんは、本当に優しいね!」 「そんな事ないよ?結婚式はココちゃんが主役なんだから。」 2人からは、幸せな空気が漂う。 彼女は、雑誌をパラパラと捲り、楽しそうにしている。 彼氏の方は、そんな彼女を見ながら、公園で遊ぶ子どもたちを見る。 「ねえ…ココちゃん。」 「なあに?」 「子ども…早く欲しいね。」 「そうだねー…いっくん子どもとか動物とか好きだもんね!犬か猫も飼おうよ!」 「いいねえ…なんなら、どっちも飼おう!」 「そうだね!子どもと同じ年の犬と猫飼うってどう?」 「あっ…それ名案!」 「早く、家族になりたいね。」 「うん。幸せな家族作ろう…。」 こんな会話を、いつまでも出来るんだと思ってた。 ちょっと天然で、ボケボケしてるけど、マイペースな私には、そんないっくんとの空間は心地よかった。 なのに、神様は残酷だと思う。 人間を、そう簡単には幸せにしてくれないんだから…。
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