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逸樹が目を醒ますと、そこは病院のベッドの上だった。
横には、心春が寝ている姿があった。
「…。」
なんだか、不思議な感覚がある。
俺の手を握っているのは、愛しい人。
俺の、大事な恋人…。
「…ココちゃん、ココちゃん。」
「ん…いっくん?」
「ココちゃん、俺…一体?」
「…!!いっくん、今…私の事なんて?」
「えっ…ココ…ちゃん?…あっ!」
思い出した。
何もかも。
記憶をなくした前後の事も、俺がずっと忘れていて、大切なはずなのに思い出せない人…その人を、ココちゃんって呼んでいた事を…。
「思い…出したの…?」
「ココちゃん、俺…全部思い出したよ。君との思い出全てを。」
「いっくん!」
心春は、逸樹に抱きつき泣いた。
二度と、自分を思い出さないかもしれない愛おしい人へ、嬉しくて泣いた。
「ココちゃん、ごめん。俺…。」
「いいの!いっくん…。」
「ん?」
「お帰り!!」
「ただいま!」
やっと、この日がきた。
何年も、何十年も先になると思ってた。
でも、いっくんは思い出してくれた。
私との思い出も、私の事も。
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