No.010

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彼の記憶が、こんなに早く戻ったのは、奇跡だと病院で言われた。 記憶が戻ったのは嬉しい。 でも、別れた私たちは、やり直す道があるのか、お互いに迷っていた。 「ココ。あんたたち、どうなってんの?」 「えっ?」 「逸樹くんの記憶、戻ったんでしょ?より戻さないの?」 「どう…だろ…。」 「だって、あんたたち、お互いにまだ好き同士なんでしょ?」 「そうだけど…。」 「けど何?一回別れて復縁なんてありえない?」 「そうじゃないけど…。」 「じゃあ、何?」 春奈は、眉間にシワを寄せながら話す。 「好きなら好きでいいじゃん!何が問題?」 「だって、今更…。」 「今更じゃないでしょ!あんたたちは、嫌いになって別れたんじゃなくて、逸樹くんの記憶が戻らなくて、お互いに辛い思いをお互いがさせたくなかったからじゃないの?!周りはね、あんたたちが、また仲良く楽しそうにしてるカップルに戻ってほしいの!!好きなのにこのままって変!」 「ハルちゃん…。」 どうしていいか、全くわからない。 彼が好きな気持ちは変わらないのに…。
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