No.001

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「加藤逸樹(かとういつき)さん26歳男性!バイク事故により、頭部を強く打った模様。意識レベルは低く、脈拍もかなり弱まっています!」 「かなり危険だ!すぐにオペの準備を!急いで!!」 「はいっ!!」 手術室の外では、警察と逸樹の家族がいる。 「加藤逸樹さんのご家族の方ですか?」 「はい。」 父親が、母親を宥めながら返事をした。 「息子さんですが、飛び出してきた子どもを避けるために、ハンドルを切りブレーキをした様なんですが、その際に転倒し、ガードレールに頭部を強打したようです。」 「…そうですか。そのお子さんは?」 「驚いた拍子に転倒はしましたが、掠り傷で済みました。」 「それは良かった。母さん、ココちゃんに電話してくれ。」 「は、はい…。」 楠心春…加藤逸樹の婚約者だ。 心春のケータイが鳴る。 画面に、加藤逸美の文字。 「…?お義母さん?」 心春は、ケータイに出た。 「はい、心春です。お久しぶりですね、お義母さんから電話くれるなんて。」 「心春ちゃん?逸樹が…逸樹が!」 「いっくんが、どうしたんですか?」 「逸樹が、バイク事故に…急に飛び出してきた子どもを避けるために、ガードレールにぶつかって、頭を強く打ったみたいなの…。」 「そんな…。いっくんとその子どもは?」 「子どもの方は、掠り傷ですんだみたい。」 「良かった…で、いっくんは?」 「逸樹は、まだ判らないの。」 「お義母さん…病院どこですか?今すぐ行きます!」 心春は、義母に教えられた病院へと急ぐ。 なかなかタクシーが捕まらない。 走りながら、やっと捕まえたタクシーに乗り込み、行き先を告げて急いでもらい、会計を済ませて、手術の行われている場所へと急いだ。
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