No.001

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「お義母さん!お義父さん!」 「ココちゃん!」 義母がそう呼び、心春に泣きすがる。 「お義母さん…。」 「ココちゃん、すまないね。逸樹がこんな事になって…。」 「いえ…いっくんは優しいから。子どもを守りたかったんですよ。」 手術開始から数時間。 やっと手術中のランプが消え、中から医師たちが出てきた。 「先生!息子は…逸樹は!!」 逸樹の父親が、不安そうに尋ねた。 「一命は取り留めました。ですが、脳に障害が残る可能性があります。」 「脳に…障害…。」 「まだ、麻酔も効いてますので、目を覚まさない事にはなんとも…。」 「そうですか…ありがとうございます。」 それから一週間、逸樹は目を覚まさなかった。 「…ここ…どこ?」 「逸樹!ココちゃん!」 「いっくん!」 「俺…一体…。」 「あなたは、バイクで事故にあったの!飛び出してきた子どもを避けようとして…。」 母親が、涙を流しながら話す。 「そっか…全く覚えがない。」 「良かった!一週間も目を覚まさなかったのよ?!」 「そんなに…。」 「いっくん!私…心配で心配で…。」 「…。」 「いっくん?」 「…心配って…。どうして貴女が俺の心配を?」 「えっ…だって…私の事…。」 「君は…一体誰?」
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