まだ幼くて

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「…廉。どうしたんだよ?」 さすがに空気を察知したらしくて悠真が口を挟む。 「…別に。」 廉は悠真を見るとフイッと視線をそらした。 「…あたし、この間言ったじゃん?後にも先にも廉だけだって。…あれのせい?」 壊れないで欲しい。 冷たくなってなんて欲しくないよ。 「じゃあ聞くけど。」 廉が視線をこっちに向けた。 「ハルの好きって本当に恋愛?」 …え…? 廉を見ると、真剣な顔をしている。 まっすぐに。 …あたしの『好き』は絶対に恋愛? …そんなこと…聞かれても…。 「幼馴染みとして俺が好きなだけかもしれないだろ。」 …『幼馴染み』 そんなものがココで影響するの? あたしにはとてもいい繋がりだった。 『幼馴染み』という名でつながるこの関係は。 3人でずーっと一緒にいたい。 「お前の『好き』はタブン、恋じゃない。」 廉は冷たい目をしていた。 …恋じゃない? そんなこと…ないはず。 トキメキもドキドキもあったよ。 ずっと一緒にいたいって思ったよ? 「…廉。」 悠真が廉をたしなめるように名前を呼んだ。 「行きすぎた友情の間違いだろ」 「廉!」 悠真が怒鳴る。 「…ほどほどにしとけ。何言ってるんだよ、いきなり」 廉は悠真の頭にポンッと手をおくと耳元で小さく何かを言ったようだった。 「…れ…」 悠真が目を見開く。 「じゃあ、俺、学校行くから」 歩き出した廉の姿がぼやけてたのはきっとあたしが泣いてるからだ。
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