662人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
《side☆廉》
二人を置いて学校への道を歩く。
一人での登校はこんなに静かだっただろうか。
でも間違いではない。
…きっと。
悠真に囁いた言葉を思い出した。
『ガンバレよ』
あの日。
悠真が俺に「春陽が好き?」ときいてきた時、初めて気づいた。
いや、本当はもっと前から勘づいてはいたんだ。
ただ信じたくはなくて、目を塞いでいたけれど。
春陽のことを好きなのは俺じゃない。
むしろ悠真だ。
毎朝、毎朝あの告白を聞いていたんだ。
春陽が俺に毎朝告る四年間ずっと。
どんな想いで聞いていた?
どんな気持ちで?
春陽を好きだとは思う。
『愛してる』というよりは『愛しい』。
これが恋かどうかは分からない。
ただ独占欲だけは働く。
他の男と話していればムカつく。
他の奴には好きとかいってほしくない。
もっと警戒して生きて欲しい。
そしてこの訳の分からない気持ちは日に日に強くなっている気がする。
春陽の好きを聞くたびに。
でもそのたびに、春陽の好きを疑うようになった。
最初のコメントを投稿しよう!