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《side☆悠真》
春陽と別れたあと、俺はまっすぐ廉の家に向かった。
春陽の言葉を聞いて決心が固まったから。
なんだかんだで、俺と春陽は根本的に似ている。
だから自分らしさを失うと時々春陽に聞いていた。
そして春陽はいつも、俺の期待に応えるものをくれる。
最初はそれだけで、ただの相談相手だった。
いつのまに「恋」なんていう、厄介な感情が生まれていたんだろう。
少なくても、気づいたのは春陽が廉に告白したときだった。
『…廉!好きだよっ』
そう聞いた朝の言葉。
嫉妬という言葉の意味を知った。
気が狂いそうなほど廉が羨ましかった。
はいはい、なんて余裕顔を見せる廉が羨ましくて、憎らしくて。
そして怖かった。
いつか
『廉、好きだよ』
『だったら俺の傍にいろ』
こんな甘い会話になるんじゃないかって。
そしたら俺はもう、二人と一緒にはいられない。
離れなきゃならない。
俺は二人を応援することができないから。
でも、離れたくなくて。
3人でいる時間が好きで好きでたまらなくて。
だから何度も忘れようとした。
でも春陽のことも好きで好きでたまらなかった。
こんな悩みをきっと廉は感じ取ったんだ。
自分と春陽が一緒にいると俺が傷つくと思ってたんだ。
廉はそういうやつだから。
その廉の憶測は間違ってなんかいない。
いないけど…
俺にはもっと大切なものがあるんだよ。
それを伝えに、俺は廉のもとにいく。
それが俺なりの宣戦布告だ。
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