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《side☆廉》
悠真がいきなり俺の家にきた。
何をしにきたのかは知らないが。
とりあえず俺は、悠真を俺の部屋に入れた。
…そしてもう5分くらい沈黙。
さっきまでうるさかった玄関が嘘みたいだ。
「…よ…」
「あのな!!」
用はなに。
そう聞こうとしたけど悠真の声に遮られた。
いつもより緊迫した表情の悠真。
こんな顔初めてみた。
「…なに」
いつもどおり、聞く。
「…俺、春陽のこと好き…だ。」
「…知ってるけど」
選ぶような言葉に何かを感じる。
「…でも、俺お前も好きだ。」
…うん。
知ってる。
頷きたい。けど、今は言えない。
恥ずかしいんじゃなくて、重くて。
その言葉の意味が、重すぎて。
…言えない。
雰囲気を壊すように、悠真はいきなり自分の髪をガシャガシャとした。
「こんなん無理!」
…いきなり怒鳴った。
そして、悠真は悠真らしく俺を見る。
まっすぐなその瞳で。
「だから!行くなっつってんだよ!」
必死の目でいきなりそう怒鳴った。
悠真らしく伝えてくれた。
悠真が今日ここに来た意味を。
俺の言えないその言葉を。
「…バーカ。…誰が行くか」
だから俺もいつもみたいに、適当には流さない。
"一緒にいたい"
それを伝えた。
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