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「…っ」
それをきいて無意識に唇を噛んだ。
そんなものを聞いてしまったら、会いたくなる。
会いたくてたまらなくなる。
でも俺は相変わらずのポーカーフェイスのまま美那都の髪を撫でた。
「美那都はハル好きだな」
そう言うと美那都はペロッと舌を出す。
「お兄ちゃんほどじゃないよ?」
………。
いつからこんな妹になっていたんだ…?
ムカつくから、頭をガシャガシャと撫でまわす。
美那都はへへっと笑った。
「お兄ちゃん、ハルちゃんと結婚してね♪ハルちゃんが、美那のお姉ちゃんがいーなーっ!」
無邪気な台詞と顔は可愛いけど、これをハルに聞かれなくてよかったと思う。
「…あっそ。早く行けよ」
そう言ってポンッと美那都の背を押すと満面の笑みを返して、美那都は階段を上った。
「…はぁ」
美那都の姿が見えなくなると、うっかりため息をついてしまう。
美那都がハルのウザい一言を俺に教えたせいだ。
今、あいつの顔が無性にみたい。
そんな気持ちを自分の中に塞ぎ混んで、俺はようやく美那都の薬のある棚に向かって歩き出した。
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