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「…春陽ー、元気ねーぞっ」
「えっ…、あ、ごめん!」
登校中、悠真にこれを言われたのは3回目。
今回はガシッと肩を組んで言ってきた。
今日の悠真はやたらとスキンシップが多い気がする。
気のせいかな?
チラッと廉を見ると、いつもと同じ涼しい顔。
ヤキモチ妬いてよ、
こんなこと思っているんだから、もう異常だ。
関わらなかった何日かで、いつもよりずっと廉を好きになった気がする。
…幼馴染みを続けられないくらいに。
だって思ってもう意識しすぎて話せない。
前みたいに"好きだよ"なんて言えない…。
「…春陽。廉のこと避けてる?」
肩を組んだままで悠真があたしの耳元でこそっと言った。
「…え、そんなことないよ!?」
小声で返すと、悠真は怪しげな目であたしを見る。
「…今日、告白してないじゃん…」
少し声が哀しげに聞こえた。
「…うん、迷惑だから。」
あたしは、悠真を見れなくて視線を落とす。
だって…理由は違うもん。
迷惑なんて廉は言わない。
優しいからきっと、いつも通りの"はいはい"だ。
でも嫌なの。
今まで四年間、ずっと廉を見てるだけでよかったのに、気持ちに応えて欲しいって思ってる…。
廉の隣はあたし。
その自信を取り戻したくて…。
「…あのさ」
急に後ろから声がかかった。
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