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佐藤浩一はいたって真面目な男だった。
幼稚園、小学校、中学校、高校でも浮いた話は無く、
通知表でも常に「真面目な生徒」と便覧に記される生徒だった。
そして大学を出て、ある一流企業に勤め始めた今でも彼は真面目だと世間に評されていた。
しかし彼にはとある趣味があった。
賭博である。小学校の時から博打好きの父に連れられ雀荘や競馬場に連れて行かれ、
マネーゲームの面白さを性根に叩き込まれた浩一は、
高校生になると試験勉強の傍ら麻雀、競馬に入り浸っては大量のお金と名声を我がものにしていた。
そして大学では、役員の目をかいくぐってノミ屋を経営し、学生とは思えないほどの生活をした。
その生活は今でも続き、彼のおかげで大成したもの、破滅に追い込まれたものは数多い。
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