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と、そのとき。
ブーブー。
私の携帯が、震えた。
メールだ。
食事中に携帯を触るのは気が引けるけど、朝のメールって言うのは、結構大事な連絡だったりするから、私は携帯をいじる。
「2件…?」
2件メールが来ていたらしい。
最新、つまりついさっき来たのは、友達からの連絡。
大したことないから返信しないでいいや。
でも、もう一件は知らないアドレスだった。
@以下も見慣れないところ。
迷惑メール…?
「……は!?」
「どうした奏」
「Your wish was granted.」
「何言ってんの?」
「二重人格のもう1人、メアリーか!?
発音は良くないけど!」
「ううるさいっ!!それは昔の話でしょ!?」
黒歴史!!
「あぁ。確かそのメアリーちゃん、アメリカンなのに日本語喋ってたわよね」
「お母さんまでっ!!昔はもう終わったから忘れて!!
話が進まない!!」
今はそんな昔話に花を咲かせてる時間じゃない!!
「メールにそう書いてあったの!!」
「何て意味?」
「あなたの願いは叶いました、みたいな感じか?」
「うわー!!やっぱり姉ちゃん、妖怪に憧れてたんじゃないか!!」
「えええっ!?何この恥さらし!!」
高2にもなって、妖怪に憧れるなんて…。
「え?でも何?それで神様か何かが私を妖怪にしてくれたと?」
「でも、妖怪妖怪言ってるけど、ただ八重歯がはえただけでしょ?それ以外に何か変わってないと、妖怪化とは言えないんじゃないかしら」
「そうだよねー…」
「じゃあ、昨日のみたいに強くなってるかもよ?
試しに兄ちゃんをぶん殴ってみたら?」
「はぁっ!?何で俺!?」
「そうだね。じゃあ失礼」
殴った。
お兄ちゃんを殴った。
倒れこんだ。
今までお兄ちゃんとの喧嘩に勝ったことなかったのに、私が1発殴っただけで、お兄ちゃんは頭を抱えて倒れた。
「へ……」
「…………」
辺りは静まり返っている。
室内には、お兄ちゃんの奇声だけが寂しく流れる。
「どうやら本気で私は妖怪になってしまったらしいですね」
お兄ちゃんは、犠牲となったのだ。
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