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この世に生まれ出た瞬間、わたしの運命は決まったも同然だった。
様々な選択ができるのは心も身体も成長したあと。それまでは親も家も周りの環境も、与えられたものだけが世界の全て。
それらを苦痛に感じたところで、変えることも変わることも困難な状況。一つの家族しか知らないわたしは、順応するしかなかった。
心が痛む回数も減った。涙も薄れていった。だというのに、どうしてわたしは外を望んでしまったのか。知らない世界に憧れを抱いてしまったのか。
同じ場所に居続ければ、新しいことに気付かなければ、わたしはいつまでもこのままでいられたのに。
目を覚ます。前に逃げ出したときにも見たことのない景色の中、わたしはサンタクロースの背中におぶられていた。
周囲には家どころか人の気配を感じさせるものさえなにもない、そこは雪に覆われた草原だった。
街の周辺一帯を記した地図にもこんな場所はなかったのに、彼はその中を迷う様子もなくゆっくりと歩いている。
「ここ……は」
思わず声を出す。
「起きたかい?今、目的地に向かっているからね」
「プレゼントはもう配ったの?」
「うん。終わったよ」
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