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「そういえばさ、そのぬいぐるみ、どこで手に入れたの?」
静寂を破ったサンタクロースの質問に、妙な違和感を覚えた。
「道に落ちてたのを拾った」
「――ああ、なるほどね」
イブを見る。半目で薄笑いを浮かべた、継ぎ接ぎだらけのぬいぐるみ。お世辞にも可愛いとは言えないそのクマを見付けたのは、暗い路地裏。
誰かが落としたのかもしれない。持ち主が探しているかもしれない。強く欲しい、と感じたわけじゃないのに、気付いたら拾い上げ、服の中に隠し、持って帰っていた。
なくした誰かが泣いていたとしても、手放したくないと思ってしまった。そして、その心に従ってしまった。
洋服や靴を引き裂かれ捨てられても、対象がクマでないことに安堵した。
一度、母に見付かって捨てられたことがある。クマはわたしの目の前でゴミ袋に入れられ、わたしが見ている前でゴミ収集車に持って行かれた。
けれど後日、クマは路地裏に落ちていた。瞬間、わたしは気付いた。このクマは、わたしと共にあるべきだと。
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