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「でも、いいや。結果は変わらないし。今も時間は止まったままなんでしょう。ありがとう」 「君は、どうして動けるんだい」 「あれ。あなたが動けるようにしてくれたんじゃないんだ。わたしにもわからないけど、願いは間違いなく叶ってる。ねぇ。プレゼントを配り終えるまでどれくらいかかるの?」 「え?あぁ――時が動いていれば、朝を過ぎる、くらい」 「それだけあれば大丈夫かな。それじゃあね」 わたしはベッドの下から長袖のトレーナーと靴下と靴を取り出して着替えると、部屋を出、玄関へ向かう。 サンタは一連の動作を戸惑いながら眺めていたが、鍵を開けて扉に手をかけた瞬間、わたしの腕をつかんだ。 「どこへ行くんだい」 「どこか、ずっと遠くへ」 一晩中歩き続ければ、少なくとも街を出ることはできる。きっと隣街も越えられる。たくさん走れば、それよりも遠くへ行けるから、街の人に見付かって家に連れ戻される可能性はずっと低くなるはずだ。 前に実行したとき、時間は止まっていなかった。だから深夜のパトロールをしていたお巡りさんに捕まってしまい、母にひどく叱られた。 そしてわたしは願った。クリスマスの夜、サンタさんが時間を止めてプレゼントを配っている間、わたしを動けるようにしてください、と。
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