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少し申し訳なさそうな顔で私に挨拶をしたお兄ちゃんは、
どこかいつもよりカッコよかった
そんなお兄ちゃんを見て、今までで一番胸が苦しくなった
「行ってらっしゃい...」
なんとか絞り出した言葉は、震えていただろう
これ以上は喋れなかった........
「あぁ、行ってきます」
そう笑顔で言って、私の頭を撫でたお兄ちゃんの大きな手は、とても優しくて涙が溢れそうになる
その時、お兄ちゃんが心からの笑顔を向けるのは私ではないことを感じ取った
お兄ちゃんにとって私は“妹”なのだ
だから私は影から見守るよ
好きな人には幸せでいて欲しいから
好きな人の幸せを壊してはいけないから
玄関の扉が閉まった途端、
「好きだよ、お兄ちゃん」
その言葉とともに涙が溢れた
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