約束

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いつもと少し違う雰囲気、そう 今日は終業式だ。年賀状を送る ために住所を聞く人や、皆が 心待ちにしているクリスマスの 予定を決めてるカップルも いた。もちろんオレも、 「なぁ、真ちゃん」 椅子をまたいで後ろ向きに座って声を掛ける。 「……。」 なぜか、返事がない。 「真ちゃーん?」 オレはもう一度呼んでみた。 「…なんだ?」 本を読むのを辞めて少し顔を あげて返事をした。 「なんで終業式なのに本なんか読んでんだよ。」 「成績表を受け取るまでの時間つぶしのようなものなのだよ。」 そう言ってからまた本に目を 移して読み進めようとする。 でもオレは聞きたいことが あった。それは、 "クリスマスの予定" 思い切って予定を聞く。 「真ちゃん、クリスマスの日とか空いてる?」 くだらない質問だと言われるかもしれない。でも、どうしても聞きたかったんだ。 「空いているが?」 「じゃあさ、夜を一緒に過ごそうぜ!」 有頂天になるのを今日は堪えて 予定を立てる。 「おしるこを用意しておくのだよ。」 ここで条件かよ、と思ったけど気にしない。 「決まりだな!忘れんなよ?」 「忘れる訳がないのだよ。」 少し嬉しそうに鼻で笑う。緑間の仕草一つ一つが好きで一瞬たりとも見逃さないようにしていた。 約束をしてからは、カレンダーとにらめっこしてひたすらクリスマスを待った。
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