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キィィィ!!ドンッ!!
「うっ!」
ブレーキのキィキィした音に耳が痛くなった。ブレーキの音と一緒に何かがぶつかった鈍い音がした。現場に行って言葉を失い、目を疑った。
「真ちゃん…?」
緑色の髪、長身の身体、今日のラッキーアイテムであるオレンジ色のマフラー。間違いない、いやオレの眼が間違えるはずがない。
「真ちゃん!真ちゃんっ!」
身体を揺さ振りながら名前を呼ぶ。しかし前のように少し間を開けて返事をするようにはとても思えなかった。
「誰か!救急車を呼んで下さい!今すぐに!」
周りを見渡してみる。すでに電話してくれているようだ。それと同時に真ちゃんをはねたであろう銀色をした車を見た。
「真ちゃん、すぐに救急車くるから…!頑張れよ!」
オレはできるかぎり身体を暖めた。真ちゃんのために用意したおしるこを手に持たせる。しかし真冬の夜の寒さに温もりが奪われていく。
「失礼します!」
救急車がきた。担架に乗せて真ちゃんの身体が運ばれる。付添人として同乗することにした。救急車に乗るくらいだからまだ生きてる、気を失っているだけだと思っていた。だが、心拍数が徐々に少なくなっていく。それなのにオレは逆に不安で心拍数が高まるばかりだ。
「真ちゃん…。」
心配そうに見つめる。
お願いだから目を開けて…?
返事しなくていいから…
――口を開かなくていいから。
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