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その後、真ちゃんをなくしたオレは、試合に出れば真ちゃんがいると思った場所にパスを出してしまうなどの不調が続き、ついには体調を崩し、ふらつきながら校舎内や外を歩いていた。
ある日、赤信号に気付けず周りの通行人が悲鳴や怒声をあげる。
「なんだよ…。」
声のするほうを見る。大型のトラックがブレーキをキィキィ鳴らし、クラクションを鳴らしながらオレに迫る。真ちゃんのところに行けるかなとふと思った。いけるかもしれないと考えたオレは身動きをとらなかった。
死ぬな!オレの分までシャンと生きるのだよ!
声が聞こえた頃には歩道にいた。何が起きたのかは覚えてない。覚えているとすれば真ちゃんの声が…。
「真ちゃんが…助けてくれたのか…?」
思わず声に出す。
オレのところにくるよりも、
お前には秀徳でやることが
あるだろう。
「わかってるよ。わかってるけどお前の傍にいてーんだよ…。」
返事をしてくれる真ちゃんの声にオレも返事をする。
いつも通りの高尾でいいのだよ。オレはお前の心の中で生きているのだから…。
「真ちゃん…!」
現場にいたときも、病院にいたときも、葬式に出たときも出なかった涙がとめどなく流れ落ちる。
オレは高尾の守護霊になる。
いつでも隣にいるのだよ。
「真ちゃん…う、うぁああ…!」
真ちゃんは隣にいる。
そう言ってくれた。
今日もオレは乗るやつがいないけどチャリアカーを引いては自動販売機でおしるこを買って真ちゃんの家の前を通る。日課となったこの行動が1番真ちゃんを感じることができることだったから。
学校に行けば宮地センパイに
おしるこ渡す。きまぐれで木村センパイに渡すこともあるけど。
真ちゃんの分生きて、秀徳のバスケ部で優勝して賞状を真ちゃんに届けに行こう。
fin...
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