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若草色の草原が広がる。 辺りは全てを飲み込むような漆黒の闇に満月が輝き、風が吹き抜け、草は自らを獣のように揺らしている。 そして草原には一本の桜の大木が根を張る。 花はいつも満開だ。 そこで桜に話しかける一人の男―青年がいた。 見掛けは17、8といったところ。 彼の話しかける桜の花は、文字通りの桜色ではなく青であり、花弁は満月に照され、舞い落ちると共にキラキラと輝いていた。
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