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しかもあのバカシリウスは今回の為だけにこれだけの服を買ってきたのだろう。
値札が切られていないのは私が倦厭している服を着させる為の計算だ。
スーツケースの底にあったメッセージカードを手にする。
『愛するシャンティへ
君は普段から女の子らしさに欠けているのだから、たまの休暇くらいはこういう可愛い服を着て過ごしなさい。
君の愛する上司・シリウスより』
白い紙に走る達筆な文字。
雰囲気から上官命令というのが一目でわかる。
「ホント、あいつバカなんじゃないの?シリウスの奴いつかとっちめてやんないと」
憎憎しく口にしたところで当のシリウスに届くはずもない。
私はフリフリしたワンピースが苦手なのに。
シリウスに文句を言うのは筋違いだろうか。
面白いの半分、普段からいうことを聞かない私への嫌がらせ半分というのがアリアリとわかってしまう。
休暇はいらないと私は確かにシリウスに告げた。
拒んだ次の日にシリウスは航空チケットとホテルを丁寧に用意して私の前に現れた。
チケットを渡されたときの嫌味なほど清々しい笑顔は思い出すだけで腹が立ってくる。
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