【第1幕・静寂】第1章・イラナイ休暇

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シリウスからチケットを無理矢理渡された私は、不貞腐れと八つ当たりで旅行仕度までさせた。 これは完全に私の計算ミスだ。 普段からのシリウスの私への態度を考えれば、これくらいのイタズラは予想できたはず。 ホテルで腐っていても何も始まらない。 せっかくリゾート地に来ているのだからバカンスを満喫してみようと思った。 考えてみれば、久しぶりに一人の休日だ。 普段はシリウスとずっと一緒だからなんだか新鮮で楽しまなきゃそんな気もした。 でも服を見れば億劫にもなる。 どの服もレースや刺繍、フリルの着いている凝ったワンピースやスカートばかり。 そりゃ一応女の子だからこういう可愛い服は好き。 でも見るのと着るのとじゃ話は別。 体に絡まって見るからに動きにくい服を私は好まない。 仕事病というやつかも知れないけど。 このまま白い軍服で出かけようとも考えたけど、これじゃテロリストに「殺してください」って旗差している自殺行為だ。 せっかくシリウスが用意してくれたのだから、1番最初に手にした裾が長く白いワンピースを着ることにした。
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