【第1幕・静寂】第1章・イラナイ休暇

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ウインデルとの国境の街とは平和なものだ。 まぁ、観光地として有名だから治安もそこそこいい。 私の警備している王都とはだいぶ違うわね。 正直、呑気過ぎる気もしない。 人々の表情も穏やかで明るい。 これくらい王都も平和であればいいのに。 そうする為にも私は働かなければならない。 一刻も早くテロリストの一掃をせねば……。 観光をしていても考えることが仕事のことしかないとは、シリウスが休暇をくれるのも無理はないかもしれないわね。 ここは歴史が好きなシリウスが来た方がいい街っぽい。 そこかしこに古代を思わせる建物があるから。 シリウスのことを考えていたら自然と目に左手の薬指に目が行く。 「あら」 エンゲージリングを付けて出るのを忘れていたみたい。 何かあるわけでもないし、べつにいいだろう。 ここにシリウスはいないのだから。 ふとワゴンカーでコーヒーを売ってる店に立ち止まる。 「おじさん、コーヒー1つ……、ーー!」 ーードカンっ! 路地に止めてあった車が爆発した。 おそらく車に爆弾が仕掛けてあったんだろう。 思考が停止したのは一瞬。 手が自然とスカートの裾に入る。
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