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ウインデルとの国境の街とは平和なものだ。
まぁ、観光地として有名だから治安もそこそこいい。
私の警備している王都とはだいぶ違うわね。
正直、呑気過ぎる気もしない。
人々の表情も穏やかで明るい。
これくらい王都も平和であればいいのに。
そうする為にも私は働かなければならない。
一刻も早くテロリストの一掃をせねば……。
観光をしていても考えることが仕事のことしかないとは、シリウスが休暇をくれるのも無理はないかもしれないわね。
ここは歴史が好きなシリウスが来た方がいい街っぽい。
そこかしこに古代を思わせる建物があるから。
シリウスのことを考えていたら自然と目に左手の薬指に目が行く。
「あら」
エンゲージリングを付けて出るのを忘れていたみたい。
何かあるわけでもないし、べつにいいだろう。
ここにシリウスはいないのだから。
ふとワゴンカーでコーヒーを売ってる店に立ち止まる。
「おじさん、コーヒー1つ……、ーー!」
ーードカンっ!
路地に止めてあった車が爆発した。
おそらく車に爆弾が仕掛けてあったんだろう。
思考が停止したのは一瞬。
手が自然とスカートの裾に入る。
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