【第1幕・静寂】第1章・イラナイ休暇

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こうなれば降参したフリをして立ち回るしかない。 両手首を縄で縛られ、無理矢理歩かされる。 その間に頭の中で戦闘のシュミレーションをする。 うまくいく、はず。 自信があるというよりも、自分の体が確信している。 「そういうのは、いただけへんなぁ」 男の声がしたと思うと、手首の縄を持っていた男が倒れていた。 時間にして1秒のことだ。 人質の女の子を解放し、他のテロリストを倒すのに3秒。 そこでようやく私が第三者に助けられたと気付く。 「ありが、とうございます」 「いえ、大したことはしてないですよ」 開放した女の子に向かい気さくに笑う男が私の前方にいた。 褐色の肌、茶色の短髪、琥珀の瞳の男性。 私は彼に太陽を見た。 身のこなしが鮮やかで余計な動きがなかった、彼は何者? 勝手に足が彼に吸い寄せられていく。 「助けていただいてありがとうございます。あの、お礼をさせてもらえませんか?」 普段の私からは想像もつかない言葉が自然と出ていた。
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