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「無理です。私にこの役はとても……」
「そんなことを言わないで、リリア」
私がアーティの舞台の主演の話を名指しでもらったのは昨日のこと。
そして今日、私は主演を降りるべくアーティに直談判しに来ている。
他の女優が聞けば私はきっと罵倒されるだろう。
このリンダリア王国でアーティ=シリアと聞けば超有名脚本家。
俳優という職業をする者なら、一度は共に仕事をしたいと願う脚本家だ。
私だって何度かアーティの作品に出させてもらったけど、人柄も良くできた人間で、書く物語も申し分ない実力者。
だからこの作品じゃなかったら、主演のルチアという役でなければ、アーティと仕事をするつもりだった。
だから私はアーティに余計にガッカリしている。
アーティの仕事部屋にあるソファに座り、出されたコーヒーを飲見ながらアーティを目に留める。
「どうして?理由を聞かせてちょうだい。あなたなら実力もあるし……、何か不安要素でもあるの?」
「あなたが私の実力を買ってくれるのは嬉しいし光栄だわ。けど、私はルチアって人物が嫌いなの」
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