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「私は……この舞台を成功させたいとは思ってる。でもあなたがルチアを降りるのであれば、私はこの舞台自体を作らないつもりでいるのよ。その為にまだ内容はスポンサーにも内密にしているの」
「なんでっ?あなたはそんなに私を評論家の的にしたいの?」
熱い想いを抱えながら、周りなんて気にせず恋に堕ちる。
この部分に共感はできる。
でもその先が納得がいかない。
なんで死を選ぶのか、全然私には理解できない。
「っ、それは違うわ。あなたがとてもいい女優だから。これを読んだときにあなたが演じるルチアが頭に浮かんだのよ。だから私の書く舞台・静寂はリリアがルチアを演じなければならないの」
アーティはボロボロのノートを私に手渡す。
表紙にはシャッテン=イレイスと書かれていた。
「これは静寂の元となった手記、主人公となったシャッテン=イレイスのものよ。この静寂が実話なのは知っているわよね。シャッテンが生まれたのは今から100年以上前の内乱の絶えない時代。血と涙は流れることを止めなかったと聞くわ。私はこの舞台・静寂を綺麗なラブストーリーにするつもりはないの。これを読んでそれでも演じたくないなら私は諦めるわ」
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