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涙を拭いながら私は頭を下げた。
「よかった、勢いで言ってしまったものの正直断られるんじゃないかとドキドキしていたのよ」
アーティの声色は明るかった。
シャッテンの手記はこう締めくくられていた。
『私は生涯愛した人の苗字は名乗らない。
それが彼に対する敬意であり、名乗るという行為は彼を冒涜するものであると考えるから。
彼はヴェリアン人で、私はノーヴィリア人。
彼はノーヴィリア人の“輪廻転生”を信じていなかった。
よくお互いに人種自体の考え方の違いだと笑っていたわ。
でも……。
私の体にはヴェリアン人も混じってるから彼にも信じてほしいの。
だって私は生まれ変わっても、もう1度彼と出会いたい。
運命を呪う出会い方じゃなくて、もっと普通に出会って彼と恋に堕ちたいからーー』
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