有り得ない、最悪。

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授業が終わると、俺は弓宮に校内案内を始めた。 「…此処図書室、一番奥が音楽室な」 弓宮は辺りを見回したり、教室を覗いたりしながらついて来た。 最後に寮での部屋を案内した。 402号室……。 廊下の一番端だから覚えやすいだろう。 「此の部屋な」 「…はい、態々有り難う御座います!」 ……頼まれただけだし。 そう言いそうになったが、何故か言わないであぁとだけ返した。 ………変わった奴だ。 何だか読めない。 弓宮は、ふと見ると下を向いて落ち着きなかった。 「…どうかした?」 「……エッ!は、ハイ!何でも…」 ↑何故か後ずさって。 「…あーそう」 聞く気も失せたからそう返す。 何故か挙動不審な弓宮を置いて、先に教室に戻ろうとした。 ……が、 「熱でもあんのか?」 何故か顔が赤くなっている弓宮に聞いた。 「………ぅ、うぅん…」 ………何なんだ。 そうかと言って、教室に戻る様に促した。 弓宮は慌ててついて来る。 ……相変わらず赤面だけど。 下を向いて顔を隠す様に、小走りで後ろにいた。 俺は気付かないフリをして、携帯を弄りながら歩いていた。 振り向いて、目があうと一瞬止まって目を反らす。 そんなよく似た誰かと知りながら……… 昔を思い出して、其れが甦るとも露知らず――――――…
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