第一夜

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のっそのっそと歩くリズムに合わせて荒い呼吸だけが聞こえる。 背中にはいかにも登山家ですと言わんばかりの荷物を背負っている。 酷いものだ。 自分はいつの間にこんな大きな荷物を持っていたのか。 白いコンクリートで敷かれた細い道を歩いていた頃、電灯だけが見えていた世界に動く影が見えた。 左には田んぼ、右には用水路を挟み山に続いている。 夜中にこんなところで何をしているのか。と疑問を浮かべるが、自分の方が断然と不審者だった。 とりあえず、道がわからないので道を尋ねようと近付く。 すると、ぱくぱくと口を動かしながら何かを喋りかけられた。 何を話しているかは全くわからないが、自分は納得したような素振りをして一礼しながら横を通り過ぎた。 その時の自分には不明瞭はなかった。
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