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こんな日に急に会議なんて
たまったポケットベルのメッセージ
『4322733241』
『71412151』
会議終わって駆け出して駅で時刻表と時計と公衆電話を見比べる。終電間際
自分の自宅へ電話
「ゴメン!お願い。オトンに車出してもらって。鞄と一緒の着替え西明石駅改札に持って来てもらってお願い!後、こっちに一度電話してもらうから、オカン向かってるからと伝言して!」
急いで彼女のポケットベルに電話
『07892○3○○』
彼女のはカナメッセージ対応だ、けど
彼女に作ってもらった変換表で数字を探すのも焦れったい
頭の悪さが恨めしい
電車到着の気配がしたので電話番号だけ打ち込んで
最終電車の数本前の電車に駆け込んだ
西明石駅改札で大量の荷物を持って息を切らせたオトンが一言
「ハアハア…アホかお前、○○ちゃんこっち向かって貰えば…ハアハア」
「あ…。いや、スマン、ありがと、まだ、終電間に合うから」
ちゃんと伝言伝える事が出来ただろうか
オトン待ってる間にベル打てばよかった
本当アホや俺
新大阪に着くと人はほとんどいない
神戸線の階段を走り登った先、手摺りの側に寒そうにじっと立ってる彼女を見つける事が出来た
ホッとした顔を見せた彼女は二つ抱えていた缶ジュースのコーヒーの方を俺に渡し
「CMかドラマみたいね(笑)」
「…ゴメン。会議とかあって」
「新幹線側のロビー閉め出されちゃった(笑)家出少女扱いされちゃたよ大人なのに(笑)」
新幹線側のほうは既に真っ暗
ロビーのほうならまだ寒さは凌げるのに…
彼女の手をとりタクシー乗り場の方へ行こうとすると彼女が一言
「…ヒヒヒ。スーツ姿初めて見れた(笑)」
「……」
今日から二泊三日
無理して夜待ち合わせで二泊三日
二ヶ月ぶりの二泊三日
たいしたプランもない二泊三日
携帯もパソコンも固定電話の割引サービスもなかっあの頃
それでも?それだから?
ちゃんと繋がっていた
十数年前のちょうど今の季節の遠距離恋愛
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