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先に、3人を紹介しておこうか。
最初の狐目の青年、藤堂平助、21歳。
大柄で月代が伸びている男、原田左之助、25歳。
かなりの小柄で大きな瞳の男、永倉新八、24歳。
以上、間抜け面を晒して舞に見入っている男3人である。
恵比寿屋の舞は一見の価値のあるものだった。
ひらりと扇を返すたびに揺れる桃色の髪は、異質でありながら美しい。
何よりも隠しきることのできない品の良さがその身からあふれ出ていた。
「ただの見世物屋にしちゃ、ちぃと品が良すぎやしねえかい、なあ左之?」
見世物屋の身分が低いとは言わない。
ただ、決して高いとはいえない。
やや不審げに首をかしげ、同意を求める永倉だったが。
「・・・」
(だめだな、こりゃ)
ぽっかりと口をあけている原田を見て、ため息をついた。
(ただ、こりゃとんでもない舞い手だな。ただモンじゃねえさ)
無邪気に拍手をしている藤堂をも見て、あきらめたように笑ったのだった。
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