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絶叫が空に上がった。
夜よりは明るい青黒い空に次々と悲鳴が響き渡る。
終夜の帝国と呼ばれる、元吸血鬼の都シュバルツェン・パシェッエン。
吸血鬼の国と呼ばれたそこは、終夜どころか恒久的に夜に包まれていると言う稀有な場所であり、今では神誓王国メルテシオン直轄の聖域と化している場所でもある。
そこには、今は亡き神誓王国メルテシオン第四王女パリキス・キラガ・メルテシオンの遺体が安置されているとされていた。
かつて起こった冥魔大戦において、国中に名が知れ渡った数少ない人間の名前の一つである。
冥魔大戦から知れ渡った言葉は以下のものに集約される。
外世界より訪れた青白い悪鬼“冥魔族”。
その悪鬼の操る不死の怪物“餓鬼”。
根城にしていた赤い空が覆う異境“冥夢の幻域”。
それに対抗するために生まれた四国連合軍。
冥夢の幻域最深部に到達し、冥魔族の異世界からの進行を阻止した神誓王国メルテシオン第四王女護衛軍。
その第四王女の名がパリキスである。
それに対となって付属する名前があった。
第四王女護衛軍唯一の生き残り。
冥夢の幻域から帰還した、ただ一人の英雄。
返り血と汚れにより、純白だった服装は赤黒く――黒く変色しきっていたと言う。
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