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砂漠を進む一団があった。
飼育された大蠍に大型のソリを付けた、移動キャラバンである。
ソリの数はニ十台。
隊商としては大規模だ。
「そこで俺は言ってやった訳よ。それはそいつの頭が可笑しいってね! どう考えても卵ソースだと」
荷台で話をする青年は周りの子供達にイメージしやすくする為か、わざとらしく手振り素振りを織り交ぜて話をしていた。
「いや、クリームソースも無理があるけど、兄ちゃんの卵ソースも無理があるよ」
「俺もそう思うよ。何でわざわざ焼きトウモロコシを、丼に並々入れたソースで食べるのさ」
「美味しそうには見えない」
少年と二人と少女はあからさまに首を横に振った。
納得いかない顔で青年は唇を尖らせる。
「いやいや、君らは食べた事がないからそう言うだけだって。お兄ちゃんは色々なものを食べた末の結論だからね? あらゆるものに卵ソースは合うんだって。今度やってみろって」
子供達が一斉に異論の声を上げる。
青年は銀色ミディアムの髪をボリボリと掻くと、酷くがっかりした顔で肩を落とした。
何故か周りの子供達に励まされている。
「大丈夫だよお兄ちゃん! いざとなったら私のお婿さんにして上げるから!」
くりくりとした眼を輝かせる少女に、青年は引き攣った笑顔でサンキューと答えた。
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