第一章 死者の都

1/32
4187人が本棚に入れています
本棚に追加
/1894ページ

第一章 死者の都

怒りの翼が羽根を拡げる。 赤い色は始まりの色だ。 憎しみを思い出す回帰の赤。 紅い色は欲望の色だ。 体を蝕む飢餓の紅。 朱い色は恐怖の色だ。 人外の双眸に宿る死者の朱。 その色を見る度に思い出す。 狂った生の狂った未来への怨念を。 赭い色は噴怒の色だ。 怒りの炎が体を駆け巡り、熱い血潮が心を焼く。 失った過去と失った未来。 その両方を捨てて、憎悪の翼が拡がって行く。 憎しみと怒りに彩られた緋色は、やたら鮮明な起爆剤のトリガーと言えた。
/1894ページ

最初のコメントを投稿しよう!