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第一章 死者の都
怒りの翼が羽根を拡げる。
赤い色は始まりの色だ。
憎しみを思い出す回帰の赤。
紅い色は欲望の色だ。
体を蝕む飢餓の紅。
朱い色は恐怖の色だ。
人外の双眸に宿る死者の朱。
その色を見る度に思い出す。
狂った生の狂った未来への怨念を。
赭い色は噴怒の色だ。
怒りの炎が体を駆け巡り、熱い血潮が心を焼く。
失った過去と失った未来。
その両方を捨てて、憎悪の翼が拡がって行く。
憎しみと怒りに彩られた緋色は、やたら鮮明な起爆剤のトリガーと言えた。
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