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「さて、と。今から戻るのもなんだし、何か売店で買って来ようか?」
確か下に軽食を販売している売店が合った筈だ。その主旨を伝えるも、彼女は首を左右に振った。
「食欲は無いから遠慮するね。そうね、それじゃあダンスが終るまでお話ししましょう?」
「うん、良いよ。でも、その前に空気の入れ換えをしよう。あと、ちゃんと水分も取って」
硬いキャップを開け彼女に水滴が付着したポカリスエットを渡した。彼女は礼を言うと、ポカリを飲んだ。
その間にカーテンを開けて換気しようとした九条は手を止めた。
眼前に窓ガラス越しだが、大粒の滴が強風と共にガラスをガタガタと揺らしていた。
急な天気の変化に九条は眉を潜めた。
「何か……おかしい」
「どうかしたのユウヤくん?」
「あっ、何でもないよ。ちょっと待っててね」
カーテンを閉め直した九条は気付かない。闇夜に浮かぶ外に仄かな光りが灯ったことに。
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