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意識がゆっくりと夢の底から浮上していく。何処か夢心地の中、気だるげに瞼を開けると視界一面に雄大な木々が映りこんだ。
巨木に絡み付くツタに何処からか聞こえる野鳥の鳴き声。木々の隙間から漏れる強い陽射しに眼を細めた。
「ここは、どこ……?」
しゃがれた声で呟く。
喉がガラガラで、酷い声だ。何か飲み物はないかと辺りを見回す。すると、真横に防水加工の鞄があるではないか。
「………み…水」
すがる様に鞄を開ければ500ミリリットルの飲料水が三本。救護箱に釣具。懐中電灯や非常食、発煙筒。その他数品とサバイバルナイフが鞘に入った状態で収納されていた。
直ぐにキャップを開け、水をらっぱ飲みする。ゴクゴクと、水が喉を潤す。
「ぷ……はぁッ! 生き返るぅぅーー!!」
空に成ったペットボトルを律儀に鞄に仕舞う。仕舞う課程で鞄の上部にある文字の刺繍を発見した。
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