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友人は「でもよぉ……」と一息付くと、言った。
「絶対誰かは違う部屋に遊びに行ってんぜ? そもそも、点呼の時に居れば良いんだから少しぐらい大丈夫じゃね?
んな訳では後は、ヨロシクーー!!」
がさごそと、バックから携帯ゲーム機を取り出した彼はオートロック式 のドアを開けた。
「こちらスネーク、今からスニーキングミッションを開始する。では、去らば!」
そして、剽軽な友人は隠密とはかけ離れたスキップで部屋を出た行った。
「…………しょうがないか、な?」
もし先生が来ても自分が謝れば良いと結論付けた彼は、本を開いた。
しかし、直ぐにドアをノックする音が部屋に響いた。九条は気だるげに本を閉じると、ドアまで歩く。
どうせ友人が忘れ物をしたのだろう。
九条は身に迫る災難に気付く筈もなく、ドアを開けた先にはーー
「これはどういう事だ委員長……?」
野球部の顧問にして、学年主任の剛先生がいた。室内なのにサングラスを掛けた彼は焼けた肌に坊主で、プロレスラー顔負けの体躯。
そんな彼の幹の様な太腕は友人の頭部を掴んでいる。
友人を突き出した先生に九条は冷汗を流さずにはいられなかった。
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