プロローグ

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  「誰……玲奈?」 「違うよ、九条だよ桐島さん。先生に具合見てくる様に言われたんだ」  毛布が上下に揺れ、横になっていた桐島が起き上がった。  彼女とは同じ学級委員長として頻繁に会話している。普段の彼女は艶のある黒髪を首筋の後ろで結んでいる。  今は、髪を解いていて新鮮だった。 「ユウヤくん? あれ、でも今はレクリエーションの時間じゃ……」 「さっきも言ったでしょ、先生に頼まれたって。はい、ポカリだよ」  廊下の自動販売機で買ったポカリスエットのペットボトルをベッド横の台に置いた。 「あっ……ゴメンなさい、ユウヤくん。私の性でダンスに行けなくて。気分も大分良くなったから、今から行く?」 「あぁ、その事なら大丈夫だよ。ぼくダンスが苦手だから、丁度良かったんだ。桐島さんは全く気に病む必要ないから」  嘘だ。  この日の為に友人と共に練習をしてきたのだ。だが、彼は言わない……言えない。  嫌われたくない。例え、どれ程の汗水流した練習が無駄になろうが、彼は嫌われない為に、絶対に言わない。  例え自分が傷付いても。絶対に
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