第一話 殿、事件です!  血圧の上が130(ー ー;)

5/14
前へ
/20ページ
次へ
熱い湯がいいのであれば、さっそく湯治じゃ。 湯けむりの宿がワシを呼んでおる。 ワシは、愛人の吉乃や蘭丸が好きじゃが、 好き度合いでいえば、この自分が一番可愛いのじゃ。 よって、癒しと健康をもたらす、温泉も大好きじゃ。 岐阜城近い、長良川温泉でもよいが、 下呂温泉も、捨てがたいな。 「殿、私と温泉の、どちらが好きなのですか?」 などど、愛人達が、ラチもないコトを聞いてきたら、 「温泉」 と答えてはいけない。 例え、モノ相手だろうが、自分が軽んじられたと、根に持たれるからの。 「ふ、ワシは誰にも心を許してはおらぬ」 訳:  自分だけが一番可愛いのじゃ。 こう答えておけば、あきれられるが、根に持たれず、安心安心。 お市という、自分がこの世で一番の美女と自負し、 その地位を少しでも脅かす者は、実家の権勢を利用し、 情け容赦無くイビリぬく、鬼のような妹がおったから、学習済じゃ。 美しい菩薩の面の下は、げに夜叉じゃ(ー ー;) 傍らで、見ておったワシは、 少々、名家出・美貌を誇る女子は、苦手なのじゃ。 女子の実生態トラウマなのやもしれん。 なので、馬借という貧しい労働者階級の家の娘である吉乃や、 卑しくブサメンの藤吉郎を、なんのかんので寵愛しているのかも…じゃ。 とりあえず、美貌や名門の出自を誇るのは、 この織田信長だけでよいわ。 セレブの自慢大会など、うんざりじゃ。 ワシを崇めたてまつり、褒めそやす輩だけが、 ワシの王国におればよいのじゃ。 しかし、藤吉郎め。 減塩醤油とやらはまだか。 奴が戻らないと、温泉に行く手配等の雑用を、 丸投げできぬではないか。 蘭丸に手配させると、ついてくるからな… ワシも男。 現地では、温泉芸子を呼んで、羽を伸ばしたいのじゃ。 信長の、飽くなき健康道は、続くのであった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加