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熱い湯がいいのであれば、さっそく湯治じゃ。
湯けむりの宿がワシを呼んでおる。
ワシは、愛人の吉乃や蘭丸が好きじゃが、
好き度合いでいえば、この自分が一番可愛いのじゃ。
よって、癒しと健康をもたらす、温泉も大好きじゃ。
岐阜城近い、長良川温泉でもよいが、
下呂温泉も、捨てがたいな。
「殿、私と温泉の、どちらが好きなのですか?」
などど、愛人達が、ラチもないコトを聞いてきたら、
「温泉」
と答えてはいけない。
例え、モノ相手だろうが、自分が軽んじられたと、根に持たれるからの。
「ふ、ワシは誰にも心を許してはおらぬ」
訳: 自分だけが一番可愛いのじゃ。
こう答えておけば、あきれられるが、根に持たれず、安心安心。
お市という、自分がこの世で一番の美女と自負し、
その地位を少しでも脅かす者は、実家の権勢を利用し、
情け容赦無くイビリぬく、鬼のような妹がおったから、学習済じゃ。
美しい菩薩の面の下は、げに夜叉じゃ(ー ー;)
傍らで、見ておったワシは、
少々、名家出・美貌を誇る女子は、苦手なのじゃ。
女子の実生態トラウマなのやもしれん。
なので、馬借という貧しい労働者階級の家の娘である吉乃や、
卑しくブサメンの藤吉郎を、なんのかんので寵愛しているのかも…じゃ。
とりあえず、美貌や名門の出自を誇るのは、
この織田信長だけでよいわ。
セレブの自慢大会など、うんざりじゃ。
ワシを崇めたてまつり、褒めそやす輩だけが、
ワシの王国におればよいのじゃ。
しかし、藤吉郎め。
減塩醤油とやらはまだか。
奴が戻らないと、温泉に行く手配等の雑用を、
丸投げできぬではないか。
蘭丸に手配させると、ついてくるからな…
ワシも男。
現地では、温泉芸子を呼んで、羽を伸ばしたいのじゃ。
信長の、飽くなき健康道は、続くのであった。
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