プロローグ

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よく晴れた冬の朝、河川敷で懐かしい少年野球の声が聞こえてくる。 「傑!来てたのか!」 少年野球の監督がこっちに向かいながら俺の名前を呼ぶ。 「うぃっす!」 「なんだ、大学は休みなのか?」 「冬休みっす」 「今日は練習試合だから、まぁ、ちょっと見ていけよ」 監督はそれだけ言うと練習に戻っていった。 俺の名前は園田傑、今は現役の大学生。 もちろん野球をやっていて、確か小学校二年生ぐらいから野球をやっていた気がする。 そのころから、ポジションはキャッチャー。 野球選手として、もちろんピッチャーをやりたかったのだが、それは仕方がない。 俺よりもっとピッチャーに向いている奴がいたのだ。 俺はそいつと少年野球から中学三年までずっとバッテリーを組んでいた。 内川琢舛(うちかわたくま)という男である。 高校ではそいつは名門私立高校に推薦入学。 俺も推薦をもらったのだが、俺がもらったのは弱くもなく、また、強いわけでもない公立高校。 確か7年前くらいにベスト8に残ったのを最後に、三回戦に残れれば良い方だ、という感じだと高校のときの監督が言っていた気がする。 それからいろいろあって大学まで行ってしまった俺だが、俺の大学は全寮制で、冬休みだけしか家に帰れない規則だった。 その為、少年野球の監督に挨拶にすら行けてない状態だった。
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