第1章

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「野村さんが役者をしていたのは知ってます。 幸や虎太朗は、制作と役者を兼任してもらえるという点でも是非野村さんに、とのことでした。」 「それ、さっきの話と矛盾するよね?」 「……ここから先は、幸と虎太朗には話してません。」 少し間を置きながらも、淡々と話す小山君。 「野村さんは経験者ですから解っていただけると思いますが、僕は制作に携わる人間に役者を兼任して欲しくない。」 彼の意見は一理ある。 制作は他の裏方仕事と違い、細やかな裁量が必要だ。 稽古期間は勿論のこと、公演中に至ってはチケット管理など金銭面での気遣いも多い。 だけど……。 私にだって条件はある。 兼任を嫌うというのであれば、私は制作ではなく、役者として参加したい。 .
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