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最初は、何を言われたのか、理解出来なかった。
だけどそれは、紙が水を吸うように、ジワリジワリと浸透してくる。
小山君は、自分の発した言葉が完全に浸透するのを待ってから、徐に口を開く。
「公演で関わったのは一度きりですが、野村さんの芝居は何度か見てますし、稽古風景も覗いたことはあります。」
「……。」
「僕の書く本は大きな動きもなく会話が主体です。
あなたの芝居とは合わない。
それに、あなたは役を自分に寄せてくるタイプです。
……それが間違ってるとは言いません。
ただ、僕はそういう役者は嫌いです。」
畳み掛けるような説明に呆然とする。
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