第15章

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昼公演のある日は一日がやたらと早い。 準備は滞りなく進み、あっと言う間に開場時刻10分前。 本来なら開場前には楽屋でスタンバイしている役者達も、心配でロビーを彷徨いている。 街路樹がワサワサと大きく揺れ、小石でも当たっているかのような音を立てて窓を打つ雨。 不安を掻き立てるような外の様子を見つめていると、一組の観客がびしょ濡れになりながらやってきた。 どうやら幸の友達だったようで、私達と一緒に駆け寄って声を掛ける。 その後もポツリポツリとやってくる観客はずぶ濡れで、この悪天候にもめげずに足を運んでくれたことに、ただただ感謝だった。 .
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